この記事では、糖質制限によって髪がしっかり生えてくる話を、AGE(終末糖化物質)との関係づけて説明します。髪の毛だけに限らず、高齢化時代を元気に生活していくためにAGEについて知っておいた方がよいと思います。
55歳のハゲた私が76歳でフサフサになった理由を読みました。これは読む価値がある本だと思いました。
藤田紘一郎先生は、昔からカイチュウ博士として有名な方で、腸内細菌の本も何冊も書かれていました。アマゾンでは批判的なレビューもありましたので、先生の経歴が書かれたウイキペディアへのリンクも貼っておきます。ご自身でご判断ください。
55歳の時の写真は、白髪が多く分け目から地肌が見えているようですが、76歳の写真の髪は黒くて増えていますね。
目次
糖尿病の治療のため糖質制限したら髪の状態がよくなった
藤田先生は、2002年に重度の糖尿病になり、カロリー制限をする食餌療法を始めましたが、2010年に高血糖になり、急激に体重が落ち、脂肪ばかりでなく筋肉も落ちていきました。
そこで、糖質制限を始めました。するとわずか2週間で、空腹時450mg/dL以上あった血糖値が90mg/dLまで低下し、中性脂肪も減り、善玉コレステロールHDLが増加しました。
このときに髪の毛の状態がよくなったそうです。
人体の主な成分比率は、水分を除くと、たんぱく質が約46%、脂質が約43%、ミネラルが約11%、糖質はわずか1%です。
これに対して食事の主な成分比率は、糖質が約68%、たんぱく質が約16%、脂質が約11%、ミネラルが約5%です。
この数値を見て、大きな違和感を覚えないでしょうか。人体と現代人の食事の成分比率は、まったく適合していないのです。たんぱく質を主成分とする体内に大量の糖質を入れてしまうという、危険な食事を私たちはしていることになります。
少しでもからだの代謝のことを知ると、糖質からたんぱく質はつくられないことが分かります。
糖質はエネルギー源になり、余れば貯蔵される脂肪になります。脂質は貯蔵された燃料。糖質と脂質は、C(炭素)H(水素)O(酸素)からできています。
一方、たんぱく質は、アミノ酸がたくさんつながったものです。アミノ酸はアミノ基(-NH2)を持ちます。N(チッ素)は糖質からも脂質からも供給されません。
AGEに気をつける
まだ解説本が少なく、それほど話題になっているわけではありませんが、今後AGEが問題視されると思います。AGEとはAdvanced Glycation Endproductsの略語で終末糖化産物(しゅうまつとうかさんぶつ)といいます。
AGEについてはAGE終末糖化産物を増やさないようにするという記事で詳しく書きました。

糖化とは、たんぱく質と糖質が結びつき、たんぱく質が劣化する反応をいいます。この反応でよくない物質ができ、老化を進める原因になるといわれています。
メイラード反応
よく食品や料理の話で、メイラード反応ということばが出てきます。例えばパンを焼くと表面がこんがりキツネ色になります。また、肉を焼くと、焼き色がつきます。
コーヒー豆を焙煎すると褐色になり、カレーを作る時、玉ねぎを色がつくまで炒めますが、あの色もメイラード反応によるものです。
メイラード反応は、料理のおいしさの秘密だと思っていたのですが、一方で、AGEそのものなのです。食べるとおいしいですが、体によくない影響があります。
ただし、コーヒーなどは抗酸化物質をたくさん含んでいるので、AGEとしての働きをもつのは、物によってちがいます。
体内でできるAGEは、料理のように高温で加熱されませんが、体温でゆっくり温められたたんぱく質が糖と反応します。同じ仕組みです。
ヘモグロビンA1c
自分の体にどのくらいAGEがたまっているのか知る方法があります。毎年健康診断で血液検査をすると思いますが、血糖値の指標になるヘモグロビンA1cがあります。
これは血液中のたんぱく質ヘモグロビンに糖がついてできる物質で、ヘモグロビンがAGE化する前段階の物質です。
この数値が高いと、体内のAGE化が進んでいると考えた方がよいです。
頭皮も老化する
AGEが体のあちこちに蓄積すると、その部位の老化が進みます。コラーゲンと聞くと、まず、お肌を思い出しますが、コラーゲンは体内にあるタンパク質の30%を占めるそうです。
コラーゲンもたんぱく質の一種で、皮膚や筋肉、内臓、骨、関節、目などあらゆる全身の組織になって、細胞をつなぎとめる働きをしています。
いわば細胞と細胞をくっつける糊(のり)のような役割です。また、細胞を整然と正しく並べる働きも持ちます。
そのコラーゲンにAGEが蓄積すれば、もはや本来のコラーゲンとしての働きを失うことになります。
このように書かれると、AGEはとても無視できないと思うようになります。
顔にシワやシミ、たるみがでたりするように、頭皮にも同じことが起こります。
髪は頭皮から生えています。頭皮にAGEが蓄積してしまえば、髪は充分に栄養も水分も得られなくなります。
薄毛を意識するとき、抜け毛の多さとともに、髪の毛にコシがなく、へなへなと弱ってきたことに気づくでしょう。これは、頭皮のスローミイラ化が進み、元気な髪を生み出せなくなっている表れです。
スローミイラとは、先生の造語で、老化が進む意味です。
どんなものをどんな風に食べたらよいか
まず、糖質をとり過ぎないことが必要なことです。
具体的には、血糖値を一気に上げないようにGI値の高いものを避けて低いものを選んだ方がよいでしょう。目安は、精白していないもの。白米よりも玄米、うどんより蕎麦、白パンより黒パンです。
本にはAGEの数値が書かれた表がありましたので一部転載します。この表を見ると感じることがあるでしょう?
食品 | AGE値 (100g中) |
調理法 |
牛肉 | 707 | 生 |
800 | ステーキ(レア) | |
2657 | シチュー | |
10058 | ステーキ (フライパンで焼く) |
|
7497 | 直火焼き | |
鶏肉 | 8802 | バーベキュー(もも) |
957 | 水炊き | |
4938 | 胸肉(フライパンで焼く) | |
9732 | 唐揚げ | |
769 | 蒸し焼き | |
18520 | バーベキュー(丸焼き) | |
ベーコン | 91577 | |
きゅうり | 31 | 生 |
タマネギ | 36 | 生 |
トマト | 23 | 生 |
焼いたり揚げないで「蒸す」「煮る」
肉と野菜を比べると、野菜のAGE値が低いです。
そして、肉を調理するときに、焼くとAGE値がとても高くなります。油で揚げた唐揚げもだめ。長時間燻製にしたベーコンはものすごく高くなっています。焼いたり揚げたりするとメイラード反応で色が変わっておいしくなりますが、それは数字に表れています。
しかし、一方で、煮たり蒸したりした場合はそれほど数字が上がりません。この差は大きいです。
髪の毛と一緒に健康も維持するためには、毎日の調理方法を「蒸す」「煮る」にするのがよさそうです。たまに焼いたものや揚げ物を食べるのはよいでしょう。
まとめ
55歳であれだけ白く薄くなっても、76歳で黒くフサフサになるのは希望が持てます。私は髪はありますが、30代からかなり白くなっています。
糖質を制限して、たんぱく質を増やし、調理方法を「蒸す」「煮る」にすることがポイントです。ところで、以前、肉だけを食べて生活するとどうなるか?という記事を書きました。

日本人の話ではないのでわれわれにそのままあてはまるかどうか分からないですが、エスキモーのように肉だけを食べ続けて平気なのかどうか実験した話です。
結果、体重が減り、体調が悪くなることもなく健康状態は良好だったそうです。ただし、調理方法は、生か、「蒸す」「煮る」だけでした。焼いて食べてはいません。
ご興味があれば読んでみてください。