テレビを見ていると、男性向けシャンプーのCMでは頭皮の脂を落とすとか、毛穴から脂を落とすことをセールスポイントにしているのが分かります。何となく毎日見ていると、頭皮の脂を落として、毛穴の脂もない方がよいのかなと思うようになります。
以前、シャンプーをやめると髪が増えるという本を読んだという記事を書きました。この記事は、シャンプーを使わず、頭皮の脂を落としすぎないようにすることが頭髪のためにによいという話です。
皮脂が多いと毛の成長を阻害するという話があります。しかし、一方ではシャンプーで髪を洗わなくなったら、余分に皮脂がでなくなって、髪がしっかりして来るという話もあります。
シャンプーをつくっているメーカーなら髪を洗ってもらわないと困りますが、実際のところはどうなんでしょう?
薄毛になる人は果たしてそうではない人に比べて皮脂量が多いのでしょうか?
薄毛の科学に「頭皮の脂による影響はない!?」という記事が出ていました。
男性型脱毛症の人とそうでない人の皮脂量の比較
私は額が少しずつ上がっていっているのですが、そのあたりの皮脂は確かに多いように感じています。場所的に分泌量は多いのは当たり前かもしれませんけれども。
ところで、皮膚科では皮脂は毛成長を阻害するということは、迷信とかウソだとされているそうです。
こんな実験があったそうです。
1968年アメリカのメイバック先生らは、男性型脱毛症になっていない男性11名の一部頭髪を剃った頭皮と、男性型脱毛症の男性11名の頭皮から、皮脂を吸い取りました。
そして、男性型脱毛症になっている男性となっていない男性の頭皮で、皮脂量の差があるかどうか調べました。
その結果、これら2群の間に頭皮の皮脂量において、統計学的に有意な差はありませんでした。
次に、同じ人々の頭皮の皮脂を拭き取って、1時間後に皮脂を吸い取りました。そうすると、1時間に産生される皮脂量を測定することができます。
この結果でも、1時間の皮脂産生量に有意な差はありませんでした。
そのため、メイバック先生らは男性型脱毛症において、頭皮の皮脂産生量は増えていないと結論づけています。
また、彼らは男性型脱毛症で毛孔が脂っぽく見えるのは、毛が細いため毛孔から脂分を毛にあまり吸い上げない結果なのではないかという推測もしています。
加齢や食べ物によって脂の量が変わっていくようにも思います。本当かなと思わないでもないですが、このような実験があったと知っておくだけでもなんとなく安心できます。
過酸化脂質が休止期を早期に誘導する
しかし、一方では過酸化脂質がよくないとも書かれていました。
ライオンの内藤厚志氏らはマウス背部皮膚に過酸化脂質であるリノレインハイドロペルオキシドを外用して、毛周期がどうなるかを調べました。
その結果、過酸化脂質外用群では有意に休止期が早く誘導されていました。このことから、過酸化脂質は毛周期を休止期に移行させる効果があると結論づけられます。
実は、この過酸化脂質は頭皮の皮脂に紫外線が当たることで生じると想定されています。
過酸化脂質とは、脂(脂肪)を構成する脂肪酸が酸化分解される過程で作られるものだそうです。紫外線や活性酸素によってつくられます。

しかし、この話には続きがあります。
一方で、ヒト頭皮の脂質であるスクアレンについて調べた結果、日光によって過酸化されるのは1%にも満たないとされています。
スクアレンとは化粧品の成分としてよく聞きますが、人体ではコレステロールを作るときの中間物質で皮膚でも作られています。
皮脂の成分のうちスクアレンがどのくらいの割合を占めているのか分かりません。また、スクアレンとは別に皮脂に含まれる脂肪は食べ物の影響を受けるので、平均的なものではありません。
過酸化脂質が休止期を早期に誘導するらしいことを知っておきましょう。食べ物が髪に影響しそうなことは、化学的に説明されなくても感覚的に理解できます。
まとめ
生活の大部分は、「習慣」でできあがっているので、意識しないと別なことをためすことができません。毎日シャンプーしていたら、決意しないと止めることはなかなかできないですね。
私の知り合いの現在58歳の方で、ほぼお湯で頭を洗うことを続けている人がいます。シャンプー1本あれば1年はもつといってました。
彼の父親は若いときにはげてしまったので、普通とは違うことをしなければと、シャンプーを使わない生活をずっと続けているのだそうです。
ちなみに、彼は白髪もなく髪も十二分にあります。
私は額が少しずつ広がって薄くはなってきていますが、まだ、十分髪はあります。しかし、数ヶ月前からですが、お湯で髪を洗うようにしています。髪を切ってもらう前の日など、たまにシャンプーを使います。その後、数日は、確かに脂がよく分泌されるように感じます。