インスリン様成長因子IGF-1はどんな働きをしているのか

IGF-1が育毛に役に立つという話は理解できましたが、そもそもIGF-1って何だろうと思いました。改めて調べてみました。

散髪

髪がみるみる生える、ふえる、きれいになる25の習慣を読みました。2014年に出たこの本が、岡嶋先生の本では一番内容がまとまっていると思います。

IGF-1は知覚神経を刺激すると増えて育毛に役に立つという話は、そういうものなのかと理解できるのですが、そもそもIGF-1って何だろうと思いました。知らなくてもよいかもしれませんが、知っておきたい。

岡嶋先生の本は、毛髪に焦点を当てて書かれているので、もう少し一般的なことを調べてみました。

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IGF-1とは

IGF-Ⅰ (ソマトメジンC) | SRL総合検査案内には次のように説明されていました。

ソマトメジンCはIGF-I(Insulin like growth factors)とも呼ばれる70個のアミノ酸からなる単鎖ポリペプチドで,骨及び体細胞における成長ホルモン(GH)の成長促進作用を仲介する因子のひとつである。

ソマトメジンCの分泌はGHに依存し,種々の器官で産生される,血中では大部分が結合タンパク(IGF-BP3)と結合しており,GHに比べ血中半減期が長い。

臨床的にはGHの分泌異常を反映するため,末端肥大症や下垂体性巨人症で高値を示し,下垂体機能低下症や下垂体性小人症で低値を示す。GH依存性ではあるが,運動,ストレス,睡眠,食事の影響はほとんど受けないため日内変動は少なく,基礎値は安定している。

よってこれら疾患の鑑別及び治療効果の判定に有用である。ただし,妊婦においては妊娠初期に若干低値を示した後,妊娠後期にかけて増加する。また飢餓・低栄養状態では低値を示す。

IGF-1は、成長ホルモンの成長促進作用を仲介するとあります。そして、IGF-1の分泌は、成長ホルモンに依存するとあるので、成長ホルモンが分泌されないと、IGF-1が産生されないということですね。基本的に。

成長ホルモンは、脳下垂体前葉で作られます。分泌異常で、多く作られるとIGF-1も高値を示し、反対に少ないとIGF-1も低値を示します。

さらに成長ホルモンについてウイキペディアを読んでみると、成長ホルモンが直接器官に働きかける場合と、IGF-1を分泌させてそれが、標的器官に働きかける場合があるようです。

標的器官に直接働く場合と間接的に働く場合がある。間接的に働く場合、成長ホルモンが肝臓などにはたらきかけ、IGF-1(インスリン様成長因子-1、別名ソマトメジンC)を分泌させ、それらが標的器官に働きかける。

さらに、インスリン様成長因子をウイキペディアで調べると、このように書かれていました。

人体の殆どの細胞、特に筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚及び肺の細胞はIGF-1の影響を受ける。インスリン様効果に加え、IGF-1は細胞成長(特に神経細胞)と発達そして同様に細胞DNA合成を調節する。

つまり、まとめるとこのようになります。

  • IGF-1は、基本的には、成長ホルモン(GH)が分泌されたことで、作られる。
  • 成長ホルモン(GH)の刺激を受けた肝臓などがIGF-1を分泌し、IGF-1が標的となる器官に働きかけて、成長ホルモン(GH)が指令する何らかの作用をさせる。
  • 筋肉、骨、肝臓、腎臓、神経、皮膚、肺の細胞は、IGF-1の影響を受ける。

IGF-1が作られないとどうなるか

IGF-1の働きを知るには、IGF-1が作ることができない病気のことを知ると分かります。IGF-1を作ることができない病気は2つあります。

一つは、成長ホルモンが作れない、成長ホルモン欠損症。上に書いたようにIGF-1は成長ホルモンが分泌されて作られる仕組みなので、IGF-1を作る能力の有無にかかわらず、IGF-1が作られないのです。

もう一つは、成長ホルモンは作ることができるのですが、IGF-1が作れない。ラーロン症候群という病気です。ラーロンというのは発見した人の名前です。

成長ホルモン欠損症では、成長ホルモンの分泌が低下していますから、心身の成長が阻害され、低身長などの発育不全(小人症)が認められます。

一方、ラーロン症候群の方は、成長ホルモンの濃度は高く、IGF-1の濃度が低いという特徴を持っています。

こちらは、成長ホルモンは分泌するものの、成長ホルモンの受容体の構造に異常があり、成長ホルモンが働かないのでIGF-1が作ることができないのです。低身長、肥満、重篤な低血糖が特徴でした。

成長速度が遅く低身長で手足も小さい

幼児期のラーロン症候群の患者は、治療しないと成長速度は健常人よりも遅く、低身長のほか、手足も小さいのが特徴です。

最終的な身長は、男性で116~142㎝、女性で106~141㎝程度です。体重は増えますが、筋肉の発達が悪く、特に女性ではひざ関節に痛みや腫れが生じることが多いです。

骨の発達が遅く、脊椎の関節の退行性変化や、脊柱管狭窄が起こりやすく、若い成人でも骨粗鬆症が起きます。

脊柱管狭窄症は、一般的には、背骨に加齢に伴う変化が加わることが原因で起こります。老化現象の一つで、年をとると多かれ少なかれ脊柱管は狭くなっていくそうです。お年寄りと話すと時々この話題がでます。

つまり、IGF-1は、骨の成長筋肉の成長を促して、骨粗鬆症の予防に関係しているということです。

皮膚が薄くしわができ、髪は細く薄毛になる

成長ホルモン欠損症や、ラーロン症候群になると、若い頃から皮膚が薄くなったり、しわが出て来たりします。

また、成長ホルモン欠損症では、髪の毛が細く折れやすく、若い頃から薄毛になります。幼児期のラーロン症候群では、髪の毛は荒れて細く、折れやすく、前頭部や側頭部では、毛髪の生え際が後退します。

髪の毛や爪の伸び方、歯が生え始める時期も、健常者と比較して遅くなっています。

IGF-1があれば、この逆になります。

つまり、IGF-1は、肌の老化防止爪や毛髪の成長とその質の維持に関係していることが分かります。

近視になる

ラーロン症候群の人の網膜の血管は、健常者に比べて明らかに枝分かれが少ないです。細胞分裂が足りないのでしょう。多くの若い人は、近眼で眼鏡を必要とします。

つまり、IGF-1は網膜などの血管形成視力維持にも役に立ちます。

歯が生えにくく抜けやすい

ラーロン症候群の人の歯は生えそろうのが遅く、欠損も多く見られます。歯が抜けやすく40代で多くの歯が抜け落ちてしまいます。

IGF-1は歯の成長と歯が抜けずに維持されることに役に立っています。

心肺機能が発達しない

ラーロン症候群の人の心臓は小さく、心筋も薄く、心臓の働きも悪いようです。また、総肺活量も小さいことが知られています。

神経系が発達せず知能も発達しない

成長ホルモン欠損症では、知能は正常でも学習機能が低下しています。ラーロン症候群の人の頭の大きさは、胎児の時から小さく運動機能の発達も幼児期から遅れます。

脳細胞全体の減少がみられ、脳の部位の発達障害もみられます。知能が低く、言語知能よりも作業知能に低下がみられます。

IGF-1は体を大きくする成長ばかりでなく、神経系の成長に重要な役割を果たしています。

糖代謝に異常がある

ラーロン症候群の新生児や赤ちゃんでは、重篤な低血糖が認められ、若年成人期まで続きます。6歳以前は、インスリン抵抗性が認められます。これはインスリンが効きにくく、インスリンが血液中に余分に出る、高インスリン状態になります。

その後糖尿病を発症することもあります。

リンパ球が減少する

ラーロン症候群の人は、白血球数は正常ですが、リンパ球数が減少します。つまり、IGF-1が少なくなると、リンパ球が減少して免疫力が低下することを示唆しています。

生殖機能が発達しない

ラーロン症候群の人の性器や性腺は未発達で、思春期の到来は特に男の子で遅れます。IGF-1は、生殖機能の発達に重要であることが分かります。

肥満する

ラーロン症候群の人は、少食でも肥満しています。その傾向は成長するにつれ顕著になります。

睡眠障害と睡眠時無呼吸症候群

成人のラーロン症候群の患者では、例外なく睡眠障害や睡眠時無呼吸症候群が認められます。IGF-1は睡眠に深く関わっているようです。

うつ症状

成人で発症した成長ホルモン欠損症の人の61%に非定型的なうつ症状が見られます。

非定型うつは、これまで神経症性うつ病と呼ばれてきたものです。お天気屋うつ病とも言われ、どんより沈み込んだ状態が続くものの、よいことや楽しい出来事があると、それまでの不調がウソのように、たちまち元気になります。しかし、長続きはせず、また憂うつな気分に戻っていく、これが大きな特徴です。

しかし、成長ホルモンを補充し、IGF-1の産生が増加すると、うつ症状は改善します。

IGF-1は、脳の記憶中枢である海馬の神経細胞を再生させますが、これにより抗うつ作用が現れ、うつ状態が改善するようです。

まとめ

この記事を書いて、IGF-1は成長ホルモンが分泌されたことがサインになってつくられることが分かりました。それが通常の体の仕組みです。

すると、岡嶋先生の発見された知覚神経を刺激するとIGF-1だけが増えるという仕組みは、なかなかすごい発見なのだなと分かりました。

そして、もう一つ興味があります。

こうした通常の体の仕組みに対して、イレギュラーにIGF-1が作られるなら、そもそもIGF-1を注射してもよいのではないかと思うのです。ホルモンは微量で作用するので、外から入れると害が生じる場合がありますが、どんな影響があるのだろう?それを知りたいです。

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