育毛物語―実録潜入ルポを読みました。2005年の本なのでもう10年以上前の本です。古い本ですが、とても参考になります。育毛サロンに行く前には、是非読むとよいですよ。
健康とか美容の業界には、何となくうさんくさいものを感じていましたが、やっぱりか!という内容です。
この本は、サロン編と医療編に別れています。
目次
当時のサロンの営業方法について
サロン編の営業方法は読むととても面白いです。
しかし、今のようにほとんどの人がスマホをもち、何でも検索する情報過多の時代になると、悩みを持っているお客さんの方が知識をきちんと持っている場合が多くなります。
現在は、きっとサロンの営業社員さんもこんなことはやっていないと思います。この本が書かれた2000年になってしばらくした頃は、自己啓発セミナーのようなものが流行りました。
私もそんなセミナーに誘われたことがありますが、もともとそのようなものをハナから馬鹿にしているので、行ったことはありません。
ただ、セミナーに行くと圧迫面接のように追い込まれるという話は聞いて知っていました。企業でも、新卒者の教育や、営業社員の教育に使われていたという話も聞いたことがあります。
その時代の「ノリ」を感じさせる営業方法が次々出て来ます。
今はそんなことをしたら、お客さんからクレームの嵐が来るだけなので、きっと違うスタイルで営業していると思います。ただし、感じたのは、カウンセラーのような営業社員さんは、きっとインセンティブ(報奨金)というアメと、営業ノルマのムチでかなり締め上げられているのだろうなと思いました。
これは、今でもきっと変わらないでしょう。ということは、強要してくるようなことはなくても、サロン側の都合のよい方法に引き込まれないようにすることは必要だと思います。
そのためには最初から信じ込まないことと、自分なりに知識を持っておかなければなりません。
サロンの料金は高い
この本で潜入ルポされたサロンは、アートネイチャー、テクノヘア(倒産で現存せず)、リーブ21、プロピア、バイオテックでした。有名サロンばかりです。かいつまんで金額だけ書いていきますが、詳しくはこの本を読んでみてください。
2005年頃のコースと金額が書かれていました。
アートネイチャーの場合、ディープクレンジングコースは1年、24回で45万円。トータルコース1年24回で54万6000円でした。1回あたり2万円を超えます。
テクノヘアの場合、1年トータル50回100時間で127万9105円。こちらも1回2万円を超えます。しかし、1年に120万とはどこかの大学の授業料並ですね。
リーブ21は、1年基本コース100時間で169万3860円。全額保証コース1年100時間393万7500円。
プロピアは、1年毎週来店(48回か?)で62万9880円。
バイオテックは、1年36回で250万円。
おおむね、みな高く、ずば抜けて高いところもありますね。よく考えると、町の治療院さんは、1時間5000円くらいです。鍼のとても上手な先生は、8000~9000円くらい取る先生もいますが、だいたいそのようなものです。
治療家の先生の料金と比較すると、とても高いことが分かります。
シャンプーいろいろ
各社のシャンプーの内容成分について書かれていました。ただし、2005年当時の記録なので現在と違うと思います。
アデランスのドスカル・スカルプシャンプー
主要洗浄成分は、スルホコハク酸パレス2ナトリウム、ラウレス3酢酸ナトリウムの2種類。スルホコハク酸パレス2ナトリウムは、コハク酸を使用した弱酸性洗浄剤。一般に、弱酸性洗浄剤は、肌のpHに近いためアルカリ系の洗浄剤よりも刺激が少ないとされています。
ラウレス3酢酸ナトリウムも、合成界面活性剤のなかでは、比較的肌への作用が穏やかだといわれているものです。
ちなみにラウレス硫酸ナトリウムという成分は、表示指定成分です。
「表示指定成分」とは、旧厚生省が定めた、石油合成成分(有害化学物質)で皮膚障害を起こす可能性のある成分の中で、過去にアレルギーや接触刺激、皮膚毒素、発ガン性等の症例から
報告されたものを中心に2001年3月までに表示が義務付けられた成分のことです。
現在は全成分表示になっているので、全て書かなければなりません。表示指定成分は有害成分が入っていますよと注意喚起するために書かれていたのでしょう。
酢酸は弱酸で硫酸は強酸です。一般に硫酸を含んだ洗浄成分は脱脂力・刺激性が強いので、肌の弱い人は気をつけなければなりません。
アートネイチャーのSQシャンプー
主要成分は、ラウレス硫酸ナトリウムとスルホコハク酸パレス2ナトリウムとラウラミドグルコシドベタインです。
スルホコハク酸パレス2ナトリウムとラウラミドグルコシドベタインは、それぞれスルホコハク酸を使用した弱酸性洗浄剤とベタイン系と呼ばれる低刺激洗浄剤だが、最大配合量のラウレス硫酸ナトリウムは、市販シャンプー成分の代名詞ともいえる洗浄剤で、刺激性は高いです。
プロピアのシャンプー
主要成分は、ココイルグルタミン酸TEAとパレス3硫酸ナトリウムとラウリルベタインでした。
ココイルグルタミン酸TEAは、グルタミン酸を使用したアミノ酸系洗浄剤の代表格です。ラウリルベタインは低刺激のベタイン系洗浄剤。リンスがいらないといわれているそうですが、それは、これらの成分が持っているコーティング作用によります。
問題は、パレス3硫酸ナトリウムで、表示指定成分ではないですが、洗浄力、刺激力ともに強い洗浄剤です。性質はラウレス硫酸ナトリウムに近いです。
アトピーにも使えるというのが売りみたいだったようですが、強い成分も入っていたということです。
バイオテックのホームケアセットのシャンプー
シャンプーの洗浄成分は、ポリオキシエチレンラウリル硫酸塩。これはラウレス硫酸ナトリウムの別称です。
表示指定成分以外の表示義務のない医薬部外品なので、ほかの成分との配合比などはわからないが、これが主要洗浄剤ならば市販のシャンプーと同じでした。
リーブ21のシャンプー
主要成分は、ココイルグルタミン酸TEAとラウラミドDEAとアルキルスルホン酸ナトリウムでした。
ココイルグルタミン酸TEAは、グルタミン酸のアミノ酸系洗浄剤。ラウラミドDEAは、非イオン系と呼ばれる界面活性剤です。洗浄力は弱く、発泡力を高める洗浄助剤として使われます。アルキルスルホン酸ナトリウムは、SASと略称される石油由来の合成界面活性剤です。
現在追放されつつあるLASと並んで洗濯洗剤によく使用されています。洗浄力、刺激性とも強く、石油原料であることから毒性も強い。この成分だけで、自然とか天然のという宣伝文句は、かなりあやしくなってしまいます。
まとめ
著者の双田譲次さんは、東大卒の方なので、きちんと知識を身につけて、サロンに体験に行っています。行く前に知識を持っておかないと、相手のいっていることを信じるしか方法がなくなってしまいます。
しかし、本を読む限り、サロンで出てくる営業社員さんは、専門性が高くない人が多いようです。施術といってよいのか分かりませんが、洗髪したり、機械を当てたり、マッサージすることはできます。
しかし、自分が使っているシャンプーの成分を把握していなかったり、その成分が自然の成分ではないということも分からなかったりすると、説得力はなくなりますね。